プロトタイプを作ったら行うこと — 入門編
プロトタイプを作った後は、それを実際にユーザーや見込みユーザーに触ってもらい、改善していくことになります。その最たるものが「ユーザビリティテスト」です。
今回は、このユーザビリティテストの入門として説明していきます。
ユーザビリティテストの5工程
まずは全体像を把握しましょう。プロトタイプを使ってサービスやサイトのユーザビリティテストを行う場合、その工程は大きく分けて次の5つがあります。
テストシナリオ設計
本設計
テスト
テスト結果の評価
プロトタイプの改良
上から順に説明していきます。
1. テストシナリオ設計
まず、テスターに与えるシナリオを作成します。ここで作成したシナリオは、テスト時にテスターに口頭で説明するものです。
コツは、複数の操作と自由さを内包したシナリオを作ることです。例えば「アカウントを作って好きな人をフォローしてください」といった感じですね。
注意点は、「◯◯ページの△△ボタンを押して下さい」「◯◯画面で△△と入力してください」など単一の操作を誘導するシナリオは作らないことです。これは実際のユーザー行動とは遠いものになってしまい、テストのノイズとなってしまうからです。
2. 本設計
シナリオを作った後は、本設計を行います。
ここで言う本設計とは、シナリオの中でテスターが閲覧・操作することのできるもの全てのUI要素を洗い出し、そのUI要素をテスターがどう操作すると問題あると判断するのかを設計するものです。
本設計で具体的に行うのは、次の2つです。
課題箇所(UI要素)洗い出し
正答と時間制限の設定
詳細な設計方法はこちらの記事をどうぞ。1のシナリオ設計についても軽く触れています。
プロトタイプやUIを改善するユーザビリティテストの4手順
テスト設計テンプレートシート付きmedium.com
3. テスト
本設計が終わったら、いよいよプロトタイプを持ってテスターさんのところに向かい、実際にUIを触ってもらいましょう。
テスト中に行うことは次の4つです。
シナリオを伝えて、プロトタイプを操作してもらう
操作中は、考えていることを発話してもらう
操作しているところを撮影する
テストシートに操作の手順や掛かった時間を入力する(もしくはメモをとる)
また、もしテスター集めに悩んだ場合はこちらの記事をどうぞ。
ユーザーインタビューの相手ってどうやって見つけるの?
調査会社を使わない7つの方法medium.com
4. テスト結果の評価
テスト結果の評価では、本設計で洗い出した課題箇所のどこに問題があるかを明らかにし、どれが重要な問題なのかを優先順位付けていきます。
つまりここで行うのは、次の2つです。
本設計で出した課題箇所(UI要素)の内どれに問題があるのかを明確にする
明確になった問題の内どれが優先順位の高いものなのかを特定する
評価の仕方については、モデルケースとテンプレートを使った記事を公開していますので、より詳細にはこちらをどうぞ。
ユーザビリティテストテンプレートの使い方
設計と評価medium.com
5. プロトタイプの改良
テストを評価して、どこに問題があるのか・何が優先順位の高い問題なのかを明確にしたら、プロトタイプを改良しましょう。評価を行った上で改良に入ると、とても効率よく改良が進みます。
尚、プロトタイプの改良は多くても5人テストするごとに行うのがオススメです。1人へのテストで改良することもしばしばあります。これは、プロトタイプは捨てること・改良版を次々に作ることが大切だからです。
そして改良が終わったら、再び1に戻ります。
以上がユーザビリティテストの全体像になります。全体を掴んだら、より詳細なこちらの記事もどうぞ。